祝祭感溢れるエンターテイメントバトル!
BREAKERZ 10番勝負公演 第5戦!真の勝者はいかに!?

毎回異なる対戦相手を迎え入れライブ・バトルを交わすBREAKERZの10周年に向けて企画されたライブイベント「BREAKERZ 10周年 10番勝負 -VS-」。
新たなる決戦の地、東京・Zepp DiverCityで迎えた第5戦の対戦相手は3ピースユニット“Trignal”。バトルという言葉は似つかわしくない!?……ハッピー感満載、終始会場全体が一体となった熱いステージの模様をレポートする。

この日先陣を切ったのは赤コーナー・“Trignal”。彼らは、人気男性声優による音楽をはじめとしたエンターテインメント・レーベル「Kiramune(キラミューン)」に所属する、江口拓也、木村良平、代永翼の3人からなるユニット。個々のイメージカラー、黄(江口)、赤(木村)、青(代永)のジャケットをまとってキラキラの笑顔をたずさえてステージに登場すると、Trignal流応援歌「転生純愛ファイター」で華やかに幕開けした。表情豊かな3人のヴォーカルと、キャッチーに駆け抜けていく爽快なサウンドに引き込まれ、場内はあっという間に熱気を帯びていった。続いてダンサー4人も加わり、どっしりとタイトなドラムに軽快なギターが心地よいハイパー・チューン「Win-possible!」。健全でてらいのないメッセージソングが、ポジティブ・バイブを会場の隅々にまで起こしていく。そのほとばしるエネルギーに、Trignalのファンはもちろん、BREAKERZのツアーTシャツを着たオーディエンス達も序盤からハイテンションでステージを盛り上げていく。

2曲目が終わったところで1st MC。今回のこの異色のバトルが実現した経緯は、アニメ「LOVE STAGE!!」の声優での共演がきっかけだったことの説明、さらにBREAKERZ10周年にちなんで、DAIGO独特の略語“DAI語”でメンバー3人ぞれぞれの10年前を振り返ってくれた。巧みなトークによりさらにボルテージが上がったところで、“次の曲はカメラで遊びながら歌いたいと思います!”といって「PANORAMA SODA」を披露。瑞々しいメロディーと歌詞、カラフルなサウンドが魅力の彼らにぴったりなサマーソングだ。3人が交代でカメラを片手に客席やメンバーを撮影しながら歌うと、オーディエンスは頭上に両手を精一杯上げてハートマークを作ったり、手を振ったりしてカメラに大きくアピール!
元々ラジオがきっかけで結成することになったTrignalにとっても今年はCDデビューから5周年のアニバーサリーイヤーということだが、こうしてステージを見ていると、MCでも歌のパフォーマンスでも、常にメンバー3人が底抜けに仲が良いことが滲み出ているのを感じる。それによって生み出される圧倒的にピースフルな空気感……それこそが多くのファンに彼らが愛される最大の理由なのかもしれない。

さて、続いて披露されたのは昨年12月にリリースされた最新シングル「Update A Day」。ブラックにゴールドがあしらわれたジャケットに着替え、それまでのポップな色彩から一転、3人の歌い分けや、江口のラップ、ダンサーとの息の合ったダンスも見所のクールなナンバーで、快楽を客席と共有していった。その勢いのままラストは緻密なサウンドプロダクションで高揚を誘う「Kiss Plus」。“一緒にジャンプしてくれ〜”の煽りに会場は大揺れ! 細胞の隅々にまで幸せが行き渡る、心の栄養剤のようなステージで彼ららしさを爆発させ、BREAKERZへとバトンを渡した。

ステージ場にバンド・セットが組まれると、いよいよ青コーナー・BREAKERZの出番だ。右手で高々と天を指し、“いくぞ〜!”のDAIGOの雄叫びで勢いよくスタート! BREAKERZにとっては、この「BREAKERZ 10周年 10番勝負 -VS-」のステージは5公演目。“TG=とにかくガンガン行こうぜ!!”とDAI語で表現した今回も、これまでの4戦とは異なるセットリストで挑んでくれたのだが、Trignalファンも多く集まってくれているということで、アニメのタイアップ曲が多くラインナップされていたのが印象的だった。
また、途中のMCでは、先程本家・Trignalも歌った「PANORAMA SODA」が1コーラス披露されると、こちらも会場を大いに沸かせた!

BREAKERZの熱いステージの後、アンコールはお待ちかね!両者揃ってのコラボレーションコーナーが今宵も用意されていた。
が! なんと今回は、ゲストが声優のTrignalということで、一夜限りのプレミアムな朗読劇が披露されることに!このサプライズに ファン達が歓喜しないわけがない! 声優未体験のAKIHIDEとSHINPEIも“緊張します!”と言いつつもノリノリで、とてもハイクオリティーな朗読劇で楽しませてくれた。
そして最後はBREAKERZのナンバー「CLIMBER×CLIMBER」をセッションし、第5戦は惜しみない歓声と拍手が降り注ぐ中、フィナーレを迎えた。

バラエティ豊かな構成で楽しませてくれたTrignalとのバトル。これはDAIGOがバンド以外にも幅広い活動をしてきたことによる縁から実現したもの。タレント、俳優、声優とマルチな活躍を続けているDAIGO以外も、絵本作家の顔を持つAKIHIDE、数多くの資格取得を背景にバラエティ番組などでも活躍するSHINPEIと、バンドが歩んできた10年の中で、音楽以外にもフレキシブルなチャレンジをしてきたその経験が3人それぞれの人間力を高め、結果的にBREAKERZ(=バンド)にフィードバックされていることを、今日のエンターテイメント溢れるステージから窺い知ることができた。
Trignalもまた同様に、彼らの醸し出す人間味や3人それぞれの魅力的な個性が強いシグナルを発し、触れる人みんなをハッピーにしてくれる、そんな魅力を放ったユニットであることを実感させてくれる一夜となった。
そして今宵のライブ、最も衝撃的だったのは、オーディエンスの熱い声援!Trignalファンなのか? BREAKERZファンなのか? 見分けがつかないくらい、どちらのステージも分け隔てなく、最初から最後まで力の限り盛り上げてくれる様子は圧巻でもあり、感動的ですらあった。第5戦の勝者は紛れもなくオーディエンスだったと言えるだろう!

さあ、バトルも次はいよいよ第6戦に突入! “超特急”を迎えてどんな激戦が繰り広げられるのか。期待を胸にその時を待とう。

text:松原由香里(music freak magazine編集部)
photographer:MASA, 矢部 志保